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わすれっぽいきみえ

みらいのじぶんにやさしくしてやる

今月観た映画: 誰にも言えない秘密

今月観た映画はどの映画も「誰にも言えない秘密を抱えた人」の映画だった。

白いカラス Dual Edition [DVD]

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原題は『The Human Stain*1』なんだけど、日本語題のほうが良いと思う。まぁ題名がほぼネタバレ。

人種差別発言をしたということで辞職に追い込まれた元大学教授と悲しい過去を持つ女性の物語。Sir アンソニー・ホプキンスの主演映画で、結構前から観たいと思いながら、ずっと観ていなかった。
羊たちの沈黙』で食人鬼ハンニバル・レクター博士を演じた怪優として有名だけれども『日の名残り』に出てくる優秀だけど人付き合いに関しては不器用な執事長役も私はすごく好き。 相手の女性役はニコール・キッドマン。はっきり言ってエロいなーと思うし、まぁおじさんホイホイされるよなーと思ってしまうけど、不思議と品がある。周囲の人からはふしだらで、いろいろ面倒ごとを起こす女だと思われているんだろうが、あんまり生まれが悪そうには見えない。あとゲイリー・シニーズのナレーションきた瞬間に「これ!ゲイリー・シニーズも出とるんか!!」ってテンション上がった。声でわかる。

この映画は支えあえる人にどう出会うか、という話だ。二人ほど重く悲しい過去を持っていなくても、誰でもそれなりに何か経験して誰かに頼りたいと思うことはあるはずで、でも頼れる人は誰でもいいわけではなくて「この人」と思える人をずっと探していると思う。ものによってはちょっと話すだけで解決したりするけれども、この映画の二人のように生きる意志を投げ出しかねない出来事が起こった人にはなおのこと難しいだろう。

男性が理解を示そうとしたところで女性が「うるさい」と払いのけてしまうが、離れすぎない距離感を保ちながら落ち着くのを待ってるときが絶妙すぎる。アンソニー・ホプキンスがめっちゃイケメンに見えてくる不思議。距離感をうまく保てることを「心が広い」というんだな、と思った。

ニコール・キッドマンが鳥かごに入れられたカラスに話しかけるシーンがあって、「人に話せない」ってこういうことだよな、と思った。返して欲しい言葉があるのではなくて、ただそこにいて欲しい。返事をしなければいいというわけでもなくて、人の反応は今欲しくない、という気持ち。「それならもはや人形とかに話しかければいいのでは」っていう人がいるんだけども、それも違ってて、生き物に話しかけてる、というのが大事だったりする。『レオン』で育ててた植物と役割は同じな気がする。

お互いが一番心地よい距離感を保てる人に出会えて、二人は過去と向き合うことができるようになる。いい映画だと思う。

これも前から観てみたかった。原題は『The Reader』。そのまんま。

『白いカラス』は男性の方が随分年上だが、『愛を読む人』は逆パターンで女性がすごく年上。レイフ・ファインズが大人になった「坊や」役で、女性はケイト・ウィンスレット。『タイタニック』のときにアカデミー賞を逃したとやいのやいの言われてたけど、これでアカデミー主演女優賞をとった。ちなみにデカプリオはまだ取ってません。いらないんじゃないかな、無冠の帝王もフレーズがかっこいいし。レイフ・ファインズハリーポッターシリーズで復活したヴォルデモートの役をやってるけども、私は個人的に『イングリッシュ・ペイシャント』の方が好きです。

私自身の年齢が男の子よりも女性に近いので率直に言って「そんなウブな男の子に手を出しちゃダメ絶対」。本当に男の子がとても純粋ないい子で、まぁ騙したりなんかしてないけど、結果的に自分のせいで男の子の人生が若干こじれた感じがする。二人が出会ったこと自体は幸せな思い出ではあるんだろうけど、夢を与え過ぎたと思うから余計にその後の出来事で心にダメージを負わせた気がする。

男の子が本当に無邪気で純粋ないい子で、決して頭の悪い子じゃないんだけど女性が「坊や」と言いたくなる気持ちはわかる。本人はいっぱしの男だと認めて欲しいのもわかるけど、背伸びしてる感じで返ってかわいさが出てしまう。ただ彼自身が他の自分と同じくらいの年齢の女の子と話すと、もう浮いてしまっている。心にもそんなに響かないし、「自分に気がありそうな女の子だなー」とは思ってるけどそれ以上でもそれ以下でもない。そこがかわいそう。彼の隣の席に座ってる男の子とかは「新入生の女の子だ!」と嬉しそうなのに、「あー女ね」みたいな反応しかできなくなってる。一応スマイル0円で返しとくか、みたいな。だから、そんなかわいい男の子に中途半端に手を出しちゃいけないなぁと思う。男の子があんまりかわいくて自分に完全に惚れてしまってるのがわかるならなおのこと、手を出したなら最後まで責任持てよと。めっちゃ罪深い。

最後、すっかり大人になった坊やとすっかり老けてしまった女性が再会するところ、女性の側がまだ自分に気があるんじゃないかと期待してるのがわかるシーンが切ない。実際、愛は冷めてはいなかったけど、大人になってプライドが先に立って素直になれなくなってしまうのが悲しいなと思った。

秘密を抱えて生きていけるか

『白いカラス』の男性は秘密を本当に最後になるまで言わなかった。『愛を読むひと』の女性も聞いてくれる人がいたのに言わなかった。二人とも自分の秘密を恥だと本気で思っていたから。『白いカラス』は自分の正体を明かしたことで別れを経験したことがあったからもう言わないと決めたわけだけど、大学をクビになる時に言えばきっとクビにならなかった。『愛を読む人』も自分の秘密を貫いたことで終身刑になった。そこまでして守らないといけない秘密だったのかな。

ある人が何を恥だと考えるか、それは人によって違うから私が正直に話したほうがマシだろうといくら思っても言えないものは言えないんだろう。「私に話してくれてもいいのよ」とかそういうことじゃなくて、隠すことで自分の人生がめちゃくちゃになってるやんか、と思うわけで。ものによってはむしろ聞きたくないものもあるから積極的に聞こうと思ってないけど、隠すことによって守られるものと守られないものがあるから、もうすこし天秤にかけているものが何なのかを考えたほうがいい。

『白いカラス』は隠さないとひどい目に遭うというパターンではあった。でも、そのために心をずっと緊張させて凍らせておかないといけなくなったし、家族を失い、子供も欲しがってはいけなくなった。

愛を読むひと』では、真実を話すと男の子にフラれるかもしれなかった。気まぐれに15歳の男の子から「なんで俺ばっかりいつも読んでんの。たまには君が読んでるのを俺が聞きたい!」って言われたら、全てが壊れる。何て返せばいいか全くわからん。仮にも自分がその子から好かれてる自覚があったら、本当に壊れるなと。でも上手に言えばもっといい関係を築いていけたかもしれない。そしてせめて裁判では言うべきだった。

死ぬまで隠し通さなきゃいけないほどの秘密が今の私にはないことがとてもありがたい。ただ今後何か秘密を抱えないといけなくなったとして、それずっと抱えてないといけないのか?ということはよく考えたほうがいい。秘密を守ろうとするときって大体「バレるとこんなひどい目に」と考えてそれだけが頭を埋め尽くしてしまう。だからバレたらどうなるか、バラすならどうバラすのが一番自分にとって良いやり方なのか考えるだけの余裕がほしい。

*1:人間の傷と訳されてた

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