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住宅購入と住宅ローン減税の申告まで完了した: 確定申告編

前回からの続き。

前回は以下。

kimikimi714.hatenablog.com

前々回は以下。

kimikimi714.hatenablog.com

確定申告の準備

引っ越しまでがひと段落したのと年末年始実家に帰ってたのとで、正直一気に疲れてしまっていた。しかも去年の妊娠確定で出産準備とか保育園調査とかもあった。本当は2020年にリフォーム終わって2021年で悠々と住宅ローン減税の申請したいと考えていたのだけど、全部2019年末に終わってしまったので2020年の3月16日までに確定申告を終わらせないと何百万と損することが分かっていた。あと夫がリフォーム終わる前に2019年度中にリフォーム完了して引っ越しまで終わらせるのと2020年に入ってすべてが完了するのとでは前者の方が何十万か得になる試算も出してくれていたので、なおのこと年末までに頑張ってしまった。なので早くやらないといけないのはわかっていたけど本格的な準備は結局2月の中旬からになった。

住宅ローン減税とは

www.nta.go.jp

正式名称は『住宅借入金等特別控除』。めっちゃ雑にいうと年収から天引きされる税金が最大10年間連続で減るので手取りが増える制度のこと。個人が住宅ローンなどを利用して住む目的でマイホームの新築、取得又はリフォームなどをして実際にその家に住んだら、その住宅ローンなどの年末残高の合計額などを基として計算した金額を、一定の条件を満たす場合に住み始めてから最大10年(さらにある条件を満たすと13年)の各年の所得税額から控除する。制度制定の目的は国民の住宅取得促進のため。国民の住宅取得率が増えるとどううれしいのかは正直ちょっとよくわかってない*1のだけども、私たちは取得をもうしちゃったので10年間は税金が安くなるように申請したいのは当然だった。

この制度自体は2007年(平成19年)の住宅取得から始まったようで、実際上記に貼った国税庁のページを見るといつの住宅取得なら何年控除されるのか表が載っている。私たちの場合はこの表の中の「令和元年10月1日から令和2年12月31日まで」に該当する。令和元年10月1日に消費税増額があったので「平成26年1月1日から令和元年9月30日まで」と表が分かれている。物件本体の取得とその決済は9月中だったが、リフォームそのものは12月に完了し住み始めた。リフォームが完了したタイミングでリフォーム分の決済が走るので増税後に取得したことになる。それを証明できれば特別特定取得として控除期間は13年に延長される。ポイントは物件取得時点では消費税が上がってなくても、リフォームのタイミングで消費税が上がって増税分を払っていれば特別特定取得になることだ。住宅ローン減税は物件とリフォームを分けて控除額を計算するが控除自体はまとめて行うので物件だけ特別特定取得にならないような計算はしない。つまり物件取得とリフォーム分両方合わせて13年控除される。

住宅ローン減税を受けるための条件はほかに以下のリンクにも記載があるので興味ある人は参考にしてほしい。

www.resonabank.co.jp

ちなみにもし住宅ローン減税の申請を住み始めた翌年の確定申告で行わなかったら、もう絶対に控除されない。さかのぼって控除を受けることもできない。2019年に住宅を取得して住み始めたなら、絶対に2020年の確定申告で申請しなければならない。決済の時点で手に入る書類をなくすようなことがあったら申請自体できなくなってしまうので、絶対になくしてはならない。初年度は会社の年末調整ではなく確定申告で申請しなければならないが2年目以降は年末調整でやってもらえるので、必要書類集めは必要だがとにかく初年度の申請をきっちり行う必要がある。

どんな書類が必要か

私たちの場合、ローンを組む際に連帯債務の方式を取った。連帯債務とはローン金額を一人で全額負うのではなく、夫と私と(もしくは第三者と)で債務を分けることを指す。夫と私とで5:5の割合にしていたので、ローン全体の半分は私も債務者になっているということだ。連帯保証は債務者が何らかの理由でローンを払えなくなった時に肩代わりすることを指すので全然意味が違う。このため以下の必要書類を私と夫両方ともが用意しなければならなかった。

書類 備考
銀行からのローン残高証明原本 連帯債務のため、夫と私それぞれに1部ずつ送られてくる。
土地建物の登記簿謄本 法務局で発行してもらう必要がある。自動で家には届かない。
売買契約書のコピー 物件の売買契約で手に入るので、それをコピーする。
工事請負契約書のコピー リフォーム会社の請負契約で手に入るので、それをコピーする。リフォームに対して消費税が何パーセントで計算されたのかも記載されている。
認定長期優良住宅証明書のコピー リフォーム完了後にリフォーム会社から認定書は渡される。これがあると控除額の上限が年50万に増える。
源泉徴収票の原本 夫と私それぞれの勤め先に申請する。
マイナンバーカードもしくはマイナンバーが確認できる本人確認書類 通知カードでもOKだが、通知カードも見つからないよって人は役場でマイナンバー記載のある住民票を発行してもらえばOK。2020年5月いっぱいで通知カードを本人確認書類としては使えなくなる自治体がほとんどなので、マイナンバーカードはできれば2020年中に発行しておいた方がよさそう。
確定申告書A(第一表と第二表) 税務署でもらってくる。
(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書 税務署でもらってくる。

また住宅ローン減税とは別に地震保険に対する控除もあるので、地震保険の加入証明のコピーは一部だけ用意し夫か私のどちらかが提出すればよい。私は2020年で産休に入り年収が下がることが確定している。かつ男性の方が給料が上がりやすい情勢自体は今も現実にある。なので、この控除は夫の給料に対して行うことに相談の上決めて用意することにした。

今は必要書類をWebから申請して家に郵送で届けてもらう方法が取れるが、大体マイナンバーカードがないとできない。残念ながら私も夫もマイナンバーカードはまだ発行してなかったので、今回は税務署や法務局、役場に直接出向いて必要書類を手に入れた。ただ認定長期優良住宅証明書だけは申請を役場に別途行って2週間程度待たないといけなくて、この辺の申請がよくわからなかった。とはいえ仮に私たちが長期優良認定住宅に住んでいることを証明できて控除額の上限が上がっても計算した控除額が50万を超えないので、出したところであまりメリットがなかった。

はじめての申告会場

最初は集めてきた書類を見ながら自分たちで頑張って控除額の計算をしていた*2が、途中で何の数字をどこに書けばいいのか全然わからなくなってしまった。特に「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書」。実は私たちの物件取得には消費税がかかっていなかった。

o-uccino.com

この記事を読むとわかるのだが売主が個人の場合、個人間売買となって消費税がかからない。だがリフォームは業者を通じて行ったので増税後の消費税がかかっている。計算明細書の記入欄には建物、土地、増改築にかかった金額を記入する欄があるが、税率記載の欄は1箇所しかなく、かつ物件に対してなのかリフォームに対してなのか区別をつけることができない。たぶん私たちのケースがだいぶイレギュラーで計算明細書自体が対応しきれなかったんだろう。あと前年度の固定資産税がいくらかかったのかがわからなくて土地と建物のローン比率をパッと計算できなかった。売主さんが払ってきた固定資産税の金額も売買契約の時に書類として渡されていたのだが、売買契約でもらう書類がたくさんあって、その中のどこに書いてあるか見つけることができなかった*3。固定資産税の金額がわかると建物と土地がそれぞれいくらになっているのか計算できるので、その金額に合わせて計算明細書への記載も変わってくる。固定資産税がわからなくても建物と土地それぞれがどういう割合なのかは登記簿謄本から計算できるのだが、あってるのかひたすら不安になってきた。これで申請ができないまんまだととても困るので、もう仕方ないから申請会場に行って相談しようという話になった。

朝イチでバスで会場まで向かったが、すでにたくさんの人でごった返していた。会社には午前休をとるとあらかじめ連絡してあったけど、午前だけで終わる気がしない人だかりだった*4。とはいえすでに計算したので紙を提出すればいいだけの人用、PC持ってないからWebでやりたかったけどできなかった人用、はじめての住宅ローン減税申請があるので税理士さんに相談したい人用など窓口は分けられていたので、私たちは税理士さん相談の列の方に並んだ。1時間程度で確か順番が回ってきた。

おっとりした感じの税理士さんだったが結構てきぱき教えてくれて、自分たちの計算があってたこともここでわかった。とはいえ消費税増税後はじめての住宅ローン減税申請に関してだったので、税理士さんにもちゃんとしたノウハウはなく、ほかの税理士さんや役場の人と相談しながら書き方を探っているような状態だった。夫と「やっぱり私たちが申告しようとしてるのほかの人より難しそうだよ。ほかの相談してる人たち、私たちより後の人ももう帰っちゃってるもん。」と話していた。

税理士さんのおかげで申請方法が分かったが、税理士さんのいる場で申告するわけではなく申告自体はさっき書いた「PC持ってないからWebでやりたかったけどできなかった人用」のところにさらに並んで行うとのことだった。午前休は取っていたし、すでに原則リモートワークが会社から言われてたので家に帰ってすぐに仕事も可能だったが、これのために午後の業務開始が遅れすぎるのは困るので時間切れだと判断してお礼だけ言って帰り、家から申請することにした。

家に帰ってWebから申請しようと思ったら

申告会場から帰っちゃったのが問題だった。Webからの確定申告はマイナンバーカードがないとできないようになっている。なのでせっかく申請方法がわかっても家に帰ると確定申告できないことに気が付いてなかった。しまったーと思って、結局申告会場にもう一度向かうことになった。

2回目の申告会場

今度こそ申告するぞと2回目の会場に出向くと、今度は驚くほど人が減っていた。確か3月の12日か13日に行ったのだが、この時にはすでに用意されていた椅子もスペースが開けられて配置され、2月末に一度出向いた時よりマスクを着けている人が増えていた。マスクをつけてない人もいたが、品切れ報道がしょっちゅう流れているときだったし買えなかったかもしれなかった。私も妊娠してるのに何してるのかねと自分では思っていたけども不要不急ではなく必要火急だったし、連帯債務者になってる以上、夫が行けば全部済む話でもなかったので仕方なかった。またこの時はまだ確定申告期限の延長は発表されてなかった。

今度は前回と違って税理士相談ではなくPCから申請するコーナーで順番待ちをして早速記入し始めた。夫が自分の分からするというので隣で見ていると税理士さんに教えてもらった入力欄と違う感じになっていた。実は前回行った時点で税理士さんからも「紙の確定申告書AとWebでは入力フォームが微妙に違うので、もしかすると今教えた数字がそのまま入力できないかもしれない。」と聞かされてはいて、どうすればいいかいきなりわからなくなってしまった。記入に詰まっているとスタッフの人が助けに来てくれたがスタッフの人も話を聞いたうえで、このままだと入力できなさそうだと思ったらしくほかのスタッフに質問しに行った。前回も思ったが、やっぱり私たちの申告するケースは難しいみたいで、また別の待合コーナーに案内されてPCでの入力は別途補助人員を充てることにされた。

待合コーナーで夫と私とで「大変だなー。」と話しながら待ってたら、順番が回ってきて実直そうな人に相談する場が設けられた。その人に対して

  • 物件取得に消費税はかかってないこと
  • リフォームは消費税10%で計算されていること
  • 認定長期優良住宅だとリフォーム業者からは言われてるけど、その書類は十分に用意できてないこと
  • それ以外の書類は全部用意できてること

を伝えた。するとやはり「特別特定取得の住宅に当たりますが、認定長期優良住宅だと証明しても控除上限が上がるだけで控除される金額に変更はないため提出したところであまり意味ないので、今回は出さない方針で進めましょう*5。」という説明を受け、かつ「税金の記載個所が1つしかないのはもう仕方がないので、計算明細書の方は物件とリフォームの2枚分書いて両方合わせた控除額を1枚の確定申告書Aに記載しましょう。」という話になった。確定申告書AはPCから入力できるようになっていたので、計算明細書だけ2枚に記載するようにした。

相談した役場の人が心底丁寧な人で、公僕って言われるような人ってこういう人のことをいうんだろうかと思った。役場の人の中にはもらった給料分しか仕事しませんよって人もたくさんいるだろうから、ホスピタリティにあふれた人にサポートしてもらえて私たちとしてはとてもラッキーだったと思う。ほかの税制についても詳しかったみたいで、私たちが入力している間に別の役場の人から「法人税の××ってわかる?(××はよく聞き取れなかった)」といろいろ質問を受けていた。

「長期優良認定住宅だと今回連絡しないことで後で損することはないか?」と聞いたが、今のところは大丈夫だろうと言われた。後で何か言われても嫌なので、時間を見つけて別途役場に相談しに行こうと思う。ちなみに長期優良認定住宅について調べてみたところ、家主よりも不動産屋やリフォーム会社の方にインセンティブが入る制度のようだった。そういった物件を作ったらいくらか法人税が安くなるらしいのと、そういう物件を作れる事業所として国に認めてもらえる制度の1つらしい。住む人にとってもメリットが少しはあるようにしないと、たとえばリフォームの時に工数が通常よりかかるかもしれないことの説明が難しくなるのかも。この辺のバランスについてはよくわかってないけど、制度設計としては買う側・売る側両方にある程度メリット出す必要はあるだろう。

「今回、10%に増税後はじめての住宅ローン減税申請にあたるので、役場の人間・税理士であってもイレギュラーケースに対応しきれないことはあり得ます。計算明細書2枚、確定申告書A1枚のやり方も本当に正しいと判断するのは国税庁側で、今ここで役場としてはOKとしても国税庁側で処理するときに何か違うとか足りない書類や証拠不十分に見える数字が見つかったと連絡がある可能性も捨てきれません。このため、今私たち側の処理としてはこれで出しますが、あとから何か書類を追加で出してほしいと言われたら提出をお願いします。」

記入後、最後に念押しされて申告会場を後にした。

還付金の振込

必要書類が後から出てくるケースにびくびくしながら待ってると家に還付金振り込み完了を知らせる封筒が届いた。夫と二人で良かった~と肩をなでおろし、何とか無事はじめての住宅ローン減税申請が終わった。今年度からは会社の年末調整でいけるはずだが、残高証明などは提出しなければならないはずなので、今年ほどではないものの来年の年始もそれなりにバタつきそうだ。

補足: 連帯債務の割合について

住宅ローン減税を受けるならローンの決済が走る前に連帯債務の負担割合についてよく考えておいた方がいい。

(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書で計算した控除額が40万(認定長期優良住宅なら50万)を超えてしまうなら超えた分は還付されない。また認定長期優良住宅だったとしても50万円を超えてしまうなら、超えた分は還付されない。このため債務者が1人の(多くの場合夫が1人で債務者になるだろう)場合、税金を1人で多く支払っていても40万以上は還付されないことになる。しかし何人か(多くの場合、夫婦2人だろう)で債務割合を工夫すれば、仮に夫の控除額30万、妻の控除額15万で合計45万になると計算でわかったとしたら、それぞれが債務者なので1人で債務者になるより5万円多く控除されることになる。

もちろん控除額を少しでも増やすためとはいえ、年収が少ないのに債務者になることは大きなリスクが生じる。ローンを背負うことには違いないからだ。それに控除額はローン残高から計算するので毎年少なくなっていく。ローンを組んだうちの最初の数年間だけ得するように動くことが将来にわたって良い選択と呼べるかは人によるところだと思うので、誰でもやっていいことではないが工夫のしようがあることだけ補足しておく。

またローンを組む際の連帯債務の負担割合を変更する場合、贈与税が発生する可能性がある。以下の記事がわかりやすいので参考にしてほしい。

allabout.co.jp

連帯債務の負担割合だけでなく持分割合(所有権の割合)も考える必要があるので、事前準備はしっかり行ってほしい。

2020年度の申告はどうなるのかなぁ

というわけで3日連続で書いた住宅購入の話は一旦これでおしまい。しかしお金周りの話は今後も発生はするので、なにがしか新しいことがわかったりしたら、また記事にしようかなと思う。

*1:固定資産税の納付金額の絶対値が増えるからかなぁ。

*2:はじめから控除額を全部税理士さんのいる確定申告会場で計算してもらう方法も取れたが、一応自分たちで計算して本当に返ってくるお金の金額を見積もっておきたかった。

*3:確定申告完了後に記載個所を見つけて、がっくりきた。

*4:この時点でCOVID-19の影響が少しずつ出始めていたので、マスクしている人は普段より増えてきていた。だが三密という言葉はまだ使われてなかった時期なので、ものすごく人が密集していた。

*5:認定長期優良住宅となったら、年間の控除額の上限が40万から50万に上がる。しかし年40万の控除を受けようと思うと、もともと払っている税額がそれ以上か相当近い額でないとダメで、その金額は自分の年収に比例する。自分の年収から計算される年間40万の税金に元々届いてなければ、年間に最大50万控除されるといっても意味がないという話。